旅物語19-砂の砂漠編-

8月29日 上海
杭州から、再び上海に戻っていた。
爽快な朝とはほど遠い、寝不足の目覚め・・・
寝むい目をこすりながら、起きてホテルのフロントに向う。
昨日、杭州から戻る途中に知り合った学生3人と今日遊ぶ
約束をしていたのだ。
フロントにつくとトニーがいた、
トニーという名前だが、中国人だ。
いや、正確にいうと彼の名前はトニーではない。
都市部の中国人は「ENGLISH NAME」を持っているのだ。
あとの二人がきて、私たちはテレビ塔に向った。
世界で一番高いタワーだ!!(2006年の今は違うかな)
0.5元(8円)の渡船をつかって、バンドの前の川をわたる。
川を渡る手段は昔も今も「橋」か「船」だ、
その形はこれからも変わらないだろう。
100年前の人も100年後の人も基本的には変わっていない。
私は橋よりも船のほうが好きだ、川という一種の境界線を越えている実感を
与えてくれるし、なによりも風が心地いいからだ。
テレビ塔についたが・・・入場料は100元(1500円)
高い!!
なにやら、3人が話している。
そしてトニーが意を決したように言った。
「僕が一緒にいくよ」
女の子、二人は残るらしい。
100元・・・日本円にしてだいたい1500円か。
さっきの渡船ならば200回乗れる金額だ。
おそらく、行くといった時の決意に満ちた表情が
語るように彼にとっての100元は私の100元とは
意味が違うのだろう。
彼らは杭州出身で上海の学校に通っている。
中国の中では裕福な家庭に育っているほうだろう。
それでも100元は大金なのだ。
中国を旅する中で私はもっと100元の重さを
知らなければいけないと思い知らされた。
100元を払って登ったテレビ塔の景色は
大気汚染のせいなのか、とても美しいとは
言えなかった、正直0・5元の渡船のほうが
嬉しかった。